11月の雨

もう本格的な冬の到来か。もうすぐ慌ただしい年の瀬になるのに、実感がわかないのはなぜだろうか!
 昼間、野鳥の群れが、飛んでいるのを見た!
夏物の野菜がいつまでも、成っているのに、またあのいまわしい、野鳥たちに野菜を荒らされるのかと思うと、今から気を揉んでいる。感傷に浸っている場合じゃないぞ!
 手塩にかけた野菜をむざむざと荒らされて見ろ!
 天を恨んで涙が出てくるぞ!
 どうして、どうして!こんな天罰を与えるのかだ!
しかし、心配のタネは尽きぬもの。心配すればするほど、迷ってしまうさ


そして、雨になったぞ!長靴もぐやくちゃで畑を見守る。遠い山の裾野まで続く。雲は低く白く靄となって降りている。青々とした大地は、夕闇に包まれた。

 もう 家路に戻ろう!

 11月の雨は、冷たく暗い。あっという間に夜の帷が降りて来る。人は、笠の中に、身を丸めている。霧に包まれた歩道に白い息を吐きながら往来している。時間はまだ浅い時刻なのだが、もう深夜のようだ。家々から団欒の灯りが庭木の間からこぼれてくる。冷たいしずくが時折ぼたぼたと降ってくる。遠く列車の汽笛が聞こえた。

家に帰ろう!みんな家に帰ろう!あの頃の自分の家に、帰ろう!

山北から蔵王山の裾野を望む

臨海道路から白谷を望む