2021.9.7
愛知県東三河は風光明媚な観光や水資源の要素になる所が多い。田原市から151号線を坂登り新城市に入ると山々の風景に変わる。今の時期、山は青く夏景色だが10月に入ると紅葉が始まる。山奥は都会の慌ただしい雑踏から離れて風の音さえ聞こえる秘境もたまには良いものだ。また奥三河の山々に降った雨は宇連ダムと大島ダムでため、川や用水路によって静岡県湖西市や蒲郡市、田原市の渥美半島の先端まで送り込んでいる。宇連ダムは先回ご紹介しましたが、今回は宇連川河合(飯田線「三河川合」)を挟んで東側に分岐する大島川の上流へ行きました。この両ダムによって東三河の水瓶となって居るのです。更に大島ダムよって堰き止められた上流は人造湖になった朝霧湖です。ここは秋、紅葉がとても素晴らしく綺麗と聞きました。訪れた日はコロナの影響か人影も無く水面を風の波紋が幾度も撫でていました。
大島ダムは重力式コンクリートダムです。農業などのかんがいや水道用水として利用されています。
豊川用水:東三河地方のメインの水がめ宇連ダムを補佐するため2001年に完成した大島ダムですが完成以来、活躍の場がなかったようです。貯水率80%をわったことがなく大島ダムは無駄だったとも言われていたそうです。しかし3年前の猛暑で夏場にほとんど雨が降らず宇連ダムが大渇水! 大島ダムも貯水率50%ほどに低下しました。大島ダムがなかったら今頃は大変な事なっていました。それでも足らずに佐久間ダムの導水管から補ったこともあります。東三河はまだまだ、水の需要は増えています。生活や産業に不可欠です。
訪れたとき水吐から水は流れていませんでした。水が流れていたら迫力満点だったでしょう。しかしなんと言ってもダム景観は落差です。湖底から堤頂まで69.4mもあるのですからもの凄いです。
堤頂の天端を歩いて見ました。上流側は朝霧湖が静かに広がっています。気持ちがいいので深呼吸しました。空気が爽やかでとても美味しいです。木の葉や、水の香り等々です。さて下を見れば川底に引き込まれるようです。これだけのダムですから減勢工が複数連なっています。余水吐きから導水管で減勢工に放水しているのが分かります。
堤頂に建つ取水設備の建屋 減勢工と 余水吐き
堤頂を行けば爽やかな風が通り抜けてゆく。正面はV字型の山がそびえていますが、このような渓谷によくぞ作ったものだと感心します。日本の土木技術は素晴らしい。右側は導水部で急斜面に落下します。左側は静かな湖の景色が広がります。 表面取水設備の建屋:天端の脇に、選択取水設備が大きくそびえる。しかし外壁の色が周囲の景観と程よくマッチしていて、とても良いデザインとの評価もあるようだ。
上方を望めば山の端が連なり鬱蒼と薄暗い風景が望まれます。しかしその風景の中には田や畑もありました。近くに人家もあるのでしょう。
ダム諸元:大島ダム 愛知県新城市 豊川水系大島川 平成13年3月完成 重力式コンクリートダム 堤高69.4m 堤頂長さ160m かんがい 上水道 ダム湖:朝霧湖
ダムの減勢工:ダムから流下する水のエネルギーを弱め、洗掘等を防ぐ、ダムの直下流に設ける構造物。減勢池を設けている。
ダム右岸側の少し上流には管理棟が有ります。山奥にこんな大きな建物があるとすごく安心します。展示室も兼ねてますがコロナ感染拡大防止のため閉館中です。
管理棟 取水塔 朝霧湖の眺め
ワンポイント程度の和風な広場も有りますがちょっと洒落ています。ここではよくバードウオッチングのポイントだそうです。コノバズク(フクロウの一種:愛知県の県鳥に指定されている)の撮影も出来るそうです。ここから朝霧湖の眺めは最高でしょう!水面が静かなときは山々の風景を写しだし綺麗です。秋紅葉のシーズンには又来ようと思いました。
貯水貯水大島ダムから豊川を流れ大野頭首工へと流れていきます
ダム管理棟の一角に案内板が設置してあります。あまり関心が無いでしょうが我々東三河の人々とって命の水と言っても過言ではない豊川用水の水瓶がここに有り大切なメッセージが記してあります。立ち寄られたら是非一読して頂きたいです。
朝霧湖に掛かる橋 竣工板:平成13年3月竣工
大島ダム施工計画時にあった大島集落の8世帯の方々の碑です。平成8年に移転された。 移転された世帯の方々の銘板