ダムシリーズ:新豊根ダムを散策

                                                                                                                     2021.7.20 

今回も休日を利用して愛知県奥三河豊根ダムを訪れました。愛知県は新城市を奥へ々と進んで行く。東栄町を超して国道151号線で豊根村方面へと行くはずだった。しかしナビがおかしい!あまりの曲がりの多さに何処かで外れた。15分か、異変に気付きナビを打ちなおした。予定より送れて金越の別所街道、県道428号古真立津具線にて豊根村へと進路変更。豊根村役場を過ぎれば、みどり湖はすぐだ。山間も川も湖となり明るく開けてきた。ダムまであと10kmほどである。フォトスポットを探すのだがなにせ道が狭いので車を停めるスペースない。多少の幅員が広いロケーションを見つけては撮影した。

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豊根村役場を過ぎると広い川原が広がる  ダムより10km上流にはキャンプ場もある 

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    取水塔:みどり湖より        ダムより3km木陰よりみどり湖
         

ダムとして利用する大入川は天竜川の支流である大千瀬川(おおちせがわ)に合流する二次支流で、長さ30キロメートル・流域面積136.3平方キロメートルの河川である。愛知県の最高峰である茶臼山南麓を水源とする津具川(つぐがわ)と、茶臼山東麓を水源とする坂宇場川(さかうばがわ)が豊根村上黒川付近で合流して大入川となり、ダム地点を通過した後南に流路を変え、途中紅葉で知られる大入渓谷を形成したあと愛知・静岡県境付近で大千瀬川に合流する。合流後の大千瀬川は浜松市天竜区浦川で相川を併せ、静岡県立浜松湖北高等学校佐久間分校(旧・静岡県立佐久間高等学校)付近で天竜川に注ぐ。

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天竜系の中でもドーム型アーチ式コンクリートダムは珍しい。その放物曲線は、とても美しい。コンクリート量も節約、強度も大である。

ダムは大入渓谷の上流部、古真立川との合流点下流に建設された。 ダムに蓄えられた水瓶はみどり湖と名付けられ紅葉がとても美しいそうである。大千瀬川流域は愛知県内でも特に急峻な山岳地帯で、降水量も多く水力発電に適した地域であった。天竜川水系電源開発計画を進めていた電源開発佐久間ダム湖に水没した豊根発電所の代替施設として新たなる水力発電所の建設を計画。1962年(昭和37年)より大入川での調査を開始し、1968年5月に電源開発基本計画新規着工地点として大入川の発電用ダム建設が正式決定された。その反面、大入川は大雨が降るたびに出水し、沿岸部は頻繁な水害に見舞われていた。愛知県は連年の水害を受けて大入川に治水ダムの建設を計画した。結果として電源開発と愛知県は同時期に、同地点でのダム建設を計画することとなり、最終的に大入川の河川管理者である愛知県が1971年(昭和46年)よりダム事業に参加する形で両者の共同事業による補助多目的ダムとしての大入川総合開発事業、新豊根ダム建設が進められた。

その反面、大入川は大雨が降るたびに出水し、沿岸部は頻繁な水害に見舞われていた。特に1968年(昭和43年)8月の台風10号と、1969年(昭和44年)8月の水害では下流静岡県磐田郡佐久間町(現・浜松市天竜区浦川地区が二年連続で壊滅的な被害を受けている。愛知県は連年の水害を受けて大入川に治水ダムの建設を計画した。結果として電源開発と愛知県は同時期に、同地点でのダム建設を計画することとなり、最終的に大入川の河川管理者である愛知県が1971年(昭和46年)よりダム事業に参加する形で両者の共同事業による補助多目的ダムとしての大入川総合開発事業、新豊根ダム建設が進められた。 
 しかし、当の浦川地区住民は天竜川の水害を下流の秋葉ダムが原因であるとして秋葉ダム撤去を訴え、新豊根ダム建設にも反対した。水没世帯が100世帯に及ぶこともあいまって、1962年に調査を開始して以来補償交渉や住民の説得に注力、交渉も妥結し1969年(昭和44年)7月から本格的な建設が開始された。ダム工事は電源開発が施工を担当することになり1972年(昭和47年)に本体工事が竣工、1973年(昭和48年)8月にはすべての事業が完成し運用が開始された。 

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 新豊根ダムは天竜川水系で完成しているダムの中では佐久間ダムに次ぐハイダムである。また型式はダム地点の基礎岩盤が堅固な花崗岩(かこうがん)であることからコンクリート量を節減することで経済性に優れたアーチ式コンクリートダムとした。この型式は天竜川水系においては小渋ダムと新豊根ダムの二つだけである。目的は洪水調節と水力発電である。

 新豊根発電所は、電源開発の大規模な水力発電所。新豊根ダム湖(みどり湖)を上池に、佐久間ダム湖(佐久間湖)を下池に利用している揚水発電所である。地理的にはちょうど東西商用電源周波数の境界近くに位置し、50ヘルツ機を2台、60ヘルツ機を2台、50 / 60ヘルツ両用機を1台、合計5台の立軸フランシスポンプ水車発電電動機を設置。最大112万5,000キロワットの電力を発生させることができる。計画では年間発電電力量を8億7,400万キロワット時と見込んでいるが、大半は佐久間ダム湖よりくみ上げた水で発生させた電力である。新豊根ダム湖に自然流入する水で発生できる電力の量は1億2,700万キロワット時と、全体の15パーセントにも満たない。 
 新豊根ダム湖の水は左岸の取水口より取り入れ導水路トンネルによって2キロメートルほど東に離れた発電所まで送水されている。発電所は人工の地下空間内にあり、長野県道・愛知県道・静岡県道1号飯田富山佐久間線沿いにその入口がある。付近の公園には新豊根発電所の案内板や殉職者の慰霊碑、公衆トイレがある。

新豊根ダム:諸元
河川:天竜川水系大入川 みどり湖
ダム型式:アーチ式コンクリートダム 堤高116.5 m
堤頂長311.0 m 堤 体積348,000 m³
流域面積136.3 km²
湛水面積156.0 ha  総貯水容量53,500,000 m³  有効貯水容量40,400,000 m³
利用目的:洪水調節・発電
事業主体:国土交通省中部地方整備局
電源開発
電気事業者
新豊根発電所
(1,125,000kW)
施工業者熊谷組
着手年1969/竣工年1973